鹿塩マイロナイトと断層岩類

中央構造線の内帯側に、
「鹿塩(かしお)マイロナイト」という断層岩が、
関東から淡路島まで露出しています。
「鹿塩」は大鹿村の地名です。


断層岩類

内陸の断層では、断層帯の深さは約20kmあります。
日本列島では、深さ1kmにつき20〜30度温度が上がります。
地表と断層深部では、温度と圧力がちがうため、
岩石の性質が変わります。

およそ15kmの深さでは、温度が高く、岩石は焼きなまされ、壊れずに延びた「マイロナイト」ができます。
およそ10km〜5kmの深さでは、岩石は砕かれますが、圧力が高いために、すぐに固結して「カタクレーサイト」ができます。
深さ5kmより浅いところでは、破砕された岩石は固まりません。砕かれた岩の破片が30%以上残っているものを「断層角れき」、30%以下のものを「断層ガウジ」といいます。多くの場合、すりつぶされた粉砕物が水と化合してできた「断層粘土」を含みます。

地表近くでは、岩石は冷たく脆いため、
砕かれて「断層ガウジ」になります。
ただし、もとの岩石の破片が30%以上残っているものは「断層角礫]といいます。
一部は、すりつぶされて水と反応し「断層粘土」になります。

地下5〜10kmでは、圧力が高いため、
砕かれた岩片は固まって岩になり、
「カタクレーサイト(破砕岩)」になります。

地下15kmでは、高温のため
焼きなましを受けながら壊れずに変形し、
再結晶した細かい鉱物が流れたような見かけの、
「マイロナイト」になります。


深部断層岩マイロナイト

マイロナイトでは、
焼きなましを受けやすい鉱物種の結晶は、細かくなりながら"流れる"ように移動し、
岩石が変形していきます。
焼きなましを受けにくい鉱物種の結晶は、もとの岩石の粒のまま残ります。
この、もとの岩石から残った大きめの結晶粒を、「ポーフィロクラスト」といいます。


写真:花崗岩類が断層深部で変形してできたマイロナイト
(暗色の細粒基質と白色の長石ポーフィロクラストからなる)

花崗岩が深さ15km(地温が350℃)で変形したマイロナイトでは、
石英や黒雲母はすべて細かくなって「細粒基質」をつくっていますが、
長石の一部は、もとの大きい結晶のまま残っています。

ずれの向き

長石ポーフィロクラストの形から、当時の"ずれ"の向きが分かります。


シグマタイプ(左)デルタタイプ(右)のポーフィロクラスト(スケールは1cm)
いずれも左ずれを示す

鹿塩マイロナイトは8000〜7000万年前の白亜紀末期に、
深さ15km、350℃で形成されました。

インターネット展示室“断層岩類” に解説と顕微鏡写真があります

⇒高森山林道マイロナイト帯観察ルート