諏訪湖での中央構造線のくいちがい

中央構造線と糸魚川−静岡構造線は諏訪湖で交わっています。糸魚川−静岡構造線の東側はフォッサマグナ地域で、新第三紀の海の地層におおわれています。

しかし、岡谷の横河川の上流には、三波川変成帯の緑色片岩・黒色片岩・蛇紋岩が顔を見せています。そこで、諏訪湖の北東側では、岡谷の横河川が中央構造線の延長と考えられます。中央構造線は、茅野から岡谷まで12kmくいちがっています。

この中央構造線の食いちがいは、現在の諏訪湖をつくっている断層活動によると考えられます。長野県〜山梨県の糸魚川−静岡構造線に沿って、現在の活動的な断層が生じています(その動きの向きは、新第三紀にフォッサマグナができたときとは、変わっています)。諏訪湖地域では左横ずれ断層に なっています。


糸魚川−静岡構造線活断層系がつくっている諏訪湖

断層がややSカーブした状態で、横ずれ断層運動が生じると、カーブの形とずれの向きの関係で、カーブの部分が引っ張られて落ち込んだり、カーブの部分が盛り上がったりします。横ずれ断層により、引っ張られて落ち込んでできる陥没地を、「プルアパートベイズン」といいます。押されて盛り上がる場合は「プレッシャーリッジ」といいます。

諏訪湖は糸魚川−静岡構造線沿いの現在の活発な左横ずれ断層によるプルアパートベイズンです。南東の富士見町には、プレッシャーリッジがみられます。

諏訪湖を取り囲む山の尾根には、第四紀はじめに存在した塩嶺火山の溶岩(諏訪の鉄平石)が載っています。諏訪盆地の地下の人工地震探査により、諏訪湖の湖面の下500mに硬い岩があることが分かりました。これが、湖面より数100m高い周囲の山に載っている「塩嶺溶岩」と同じなら、諏訪湖の部分は、約1000m沈降したことになります。けれども、まわりの川から流れ込んだ泥で埋められ、現在の諏訪湖の水深は7mしかありません。

茅野市坂室での宮川の川筋の屈曲や丘の食いちがいから、現在の断層の左横ずれ速度は、1000年間に5mていどという見積もりと、1000年間に10mていどという見積もりがあります。仮に1000年間に10mとすると、中央構造線の茅野〜岡谷の12kmの食いちがいは120万年かけて生じたことになります。最後に塩嶺溶岩が流れたのは約140万年前で、それ以後の横ずれで諏訪湖が陥没したとすれば、中央構造線の12kmの食いちがいが120万年間かけて生じたという見積もりと合ってきます。


⇒「活断層としての中央構造線」に進む